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『楊令伝(十一)』(著:北方謙三。集英社文庫)
P97 民に安寧を与えたら、なにが返ってくるのか。~安寧が、わずかに安寧でなくなっただけで、不満が充満し、民は牙を剥きはじめるだろう。~
その牙を抜くのが、王の残酷さではないか。
P131 「楊令殿でも、反省、いや反省されることがあるのですか?」
韓成の口調には、微妙な皮肉がこめられているが、楊令は聞き流した。嫌われること、懼れられることは、頭領になった時に覚悟したのだ。
P140 死んだ人間に対し、宋江はこんなふうに書状を届けていたのだ。全部の人間には、書けなかっただろうし、宛名さえわからない者も多くいただろう。書ける限り、宋江は書いたのだ。
P169 いくら領土を拡げたところで、そこにいる民の数を富と思った瞬間から、国は疲弊し、腐りはじめるのだ。
P292 「もっと大きなものを、見ている。それがあなたらしい。子供たちのことは、家族のことです。あたしが、いろいろと考えてあげればいいこと。~」
梁山泊は、言ってみれば、家族のことだけを考えているのではないのか。
P365 歩兵の中に打ちこまれている、一本だけの杭。
P378 「老人ができることは、若者の代わりに手を汚してやることぐらいだ。杜興はそう思ったんだろう。早くいなくなる人間の手が、汚れる方がずっといいってな」
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